音楽とITでのんびり生きる田舎のおじさんのブログ

THE 対談。【punkiest】経営、根橋麻理子(長野県伊那市)

 

 

伊那市街地から車で15分ほど、伊那市新山地区にその小さいパン屋さんがある。

新山は、伊那市の東部に位置する山間の地区で、民家自体も多くないし、夜になると街灯も少く、the田舎といっても過言ではない場所である。

かくいう筆者もつい数年前まで未踏であったため、神秘のベールに包まれているサンクチュアリ的な気さえしたものだ。

県道を進むにつれ、正直「本当にこの先にパン屋さんなんて存在するの?」と不安になりつつ、田園と木々の真ん中を車を走らせて辿り着いたのが最初の印象であった。

 

オーナー兼シェフである「根橋麻理子」さんは小生と同い年で、実は同じ高校出身ということもあり、在学当時は全く絡みはなかったものの、僕が2011年に長野市から帰郷した際に訪れてからというもの、すごい勢いで親交を深めさせていただいているが、贔屓目なしで「パンキエスト」のパンは美味なので、いつも一定期間が過ぎると彼女のパンがやたらと恋しくなるのだ。

 

そんな彼女に、パン屋さんについて色々話を伺ってきた。

 

パンキエストに聞いてみた

–それでは、よろしくお願いします(´・ω・`)
なんだか改まって話すのも変な感じするけど、色々お話聞かせてくださいませ(笑)

まりこ様::はい、よろしくお願いします(笑)

–パン屋さんを一人で立ち上げてどれくらい経ちますか?あと、起業に至った経緯なんかを教えて欲しいのだけれど。

2012年の11月にオープンしたから今度の11月で丸4年かな。

高校卒業して測量関係の会社に就職したんだけど、もともとお菓子とかを作るのが好きだったから、市が主催していたパン教室にお母さんと月一ペースくらいで通ったんです。

そういう生活の中で「自分のやりたいことってなんだろう」って考えるようになって、7年くらい勤めた会社を辞めてニュージーランドにワーキングホリデイで暫く出たんです。その前から漠然と「パン屋さんで働いてみたい」って思ってて、ワーホリに行って「じゃあそうしよう!」って決めたんです。

それで日本に帰ってきた時にちょうど地元のパン屋さんで求人があって働き出したんだけど、トントン拍子で店長まで任されるようになった。でも、日々の仕事に追われる中で、もっとパンを追求したいなって思ったり、時を同じくしてやっぱり自分のお店を持ちたいっていう気持ちも生まれてきて、意を決して今度はドイツのパン屋さんに修行に出たんだ。

–え、海外飛びまくったんだね(笑)なんでドイツだったの?

ワーホリで出会ったドイツの知人がいたし、もともと知り合いがドイツに住んでたのもあるかな。

その頃は全然お金も無くて、手元にあった30万円でパンの学校に行こうか海外に行こうか悩んだ末、やっぱり自分の経験としてドイツを選んだんだ。もともと海外に興味もあったし。

ドイツにいたのは短い間だったけど、やっぱり得たものも大きかったです。実際に自分の目で見るのと本で見るのとは違うし、海外に出たからこそ「これは日本でも学べるな」って思う事も逆に分かったし。

で、帰国して準備をして開業した感じですね。

–色んな経験を経ての開だったんだね。ぶっちゃけ今の年商って聞いてもいいですか???

○○円です。けど、オフレコでお願いしたいかな(笑)

–ですよね(笑)これ、いつも他の人にもいつも聞いてることだから、全然気にしないでくださいませ。じゃあ、食えてるっていう解釈にしとくね。

うん、おかげさまでなんとかやれています。年商は出せるけど、やっぱ経費とか固定費とかで実際手元に残るのとか、蓋を開けてみないと分からなかったりするんですよ、他の飲食店とかも一緒だと思うけど。返済もあったりするし。

–だよね。そういうのも、実際やってみないと分かんないしね。 ここ最近の年間の休日ってどのくらい???

「休み」っていう概念も、個人事業主になると線引きがよく分からないんだけど、お店は基本水曜日休みにしてるので、月に4日プラス盆暮れ正月で、大体年間55日くらいかなあ、、、。でも結局休みでもパンのこと考えたり打ち合わせ合ったりとかするから、やっぱ休みっていう概念が分かんないね(笑)

–そこらへんも、みんな一緒だよね(笑)普通の会社員とは違うもんね。
「パンキエスト」はまりちゃんの実家の隣に建てたわけだけど、設備投資ってどのくらいかかったのかな??

借り入れとかも含めれば、初期投資は870万円位かな。調理機器は中古で揃えました、といっても3年落ちの新古品を知り合いを通じて購入しました。

建物と機材で半々位の割合かな。

–素人目線でもパン屋さんの機器って高いイメージがあるけど、機器が高い割にパン一個の単価ってそんなに上げられないところがネックかもね。

私が欲しかった釜は一つで350万円くらいするし、全部新品はとてもじゃないけど無理があるかも。

それならリースとかでもいいのかもしれないね。

 

パンのことを聞いてみた

–レシピってどうやって生んでるの???

今までの経験から自分の中でのベースの配合ってやっぱり構築されてるから、自分のイメージするパンをそこにどうやって寄せていく、もしくは乗っけていくかを考えたりしてるかな。

ほかの店とのパンとかも食べたりして、どうしても研究したりしちゃうけど。

–コンビニとかスーパーで売ってるようなパンも食べたりする???

普通に食べるよ(笑)

美味しいなら全然いいと思うし、学びもあるからね。

–そうなんだね。素晴らしい姿勢だと思います(笑)
じゃあ当然自分のパンも食べたりする???

うん(笑)

「あああ、今日自分のクロワッサンめちゃくちゃ食べたいけど、売り物だしどうしようううう???」

みたいによく悶絶したりしてる(笑)

–葛藤してる様を想像するとウケるね(笑)
パン好きなんだね。

でもどっちかというと、食べるよりも作るほうが好きだから、食べるときはいつも色々考えながら食べてるよね、配合はどうだとかこれは試してみようとか。

–そうなんだね。例えば、今のまりちゃんが行きたくなるパン屋さんてどんなパン屋さんかな???

うーん、難しい質問きたね(笑)

私って「人間」を重要視したりするから、「ああ、この人が作るパンてどんなパンだろう?」みたいに考えて行くことはあるかな。

私が好きだった人がやっていた大阪の「ブランジュリタケウチ」っていうお店があるんだけど、私が経験した中で一番美味しいパンだった。そこはもう閉店して、ヒュッテに移転してしまったけど、小さいお店だったんだけど本当に何を食べても美味しかったから時間ができたらいつか行きたいです。

–ええー、まりちゃんがそこまで言うなら僕も行ってみたいなあ。そんなまりちゃんがパンを作るときに心がけてることってある???

「大事に作る」っていうことかなあ。

パンて、素人の人がレシピ通りに作っても割と美味しものができるんだよね、焼きたてとか特に美味しいし。でも、お客さんがいつも焼きたてを食べてくれるばかりじゃないし、次の日でも美味しく食べられるパンをどうやったら作れるかな?とか、そういうことをいつも考えているかなぁ、、、。

あとは作るときの気分とか雰囲気ってやっぱり出ちゃうと思うので、そういうことは気をつけています。

–まりちゃんてパン屋さんの鑑みたいな答えくれるから嬉しいね(笑)

 

 

パン屋のビジネスのことを聞いてみた

–まりちゃんが前「パン屋さんでの起業はほかの人には勧められない」って言ってたことがあるけど、今もやっぱりそう思う???

うーん、今もそう思う(笑)

稼ぐためには勧められない。

今の日本のパン屋さんて、二つに分かれてると思うんです。それは「大きく事業展開して稼ぎたい人」と「こだわりを持ってやっていきたい人」の二つ。

ビジネスとしてやるなら、やっぱり薄利多売でどんどん数を回さないといけない。例えば冷凍の生地を使ったりしても、今の技術って本当にすごくて、美味しいパンをどんどん作れちゃうから、小さいパン屋さんにとってもそういう大手のパンてやっぱり驚異だったりするし、悲しいけど「こだわったものが美味しいとは限らない」っていう世界になってきてるんです。

私のように小さいパン屋さんは、手間もかかるしコストもかかる。安くて美味しいパンを超えるために試行錯誤を繰り返して、たどり着くまでに沢山の時間がかかるし。私はそれでも、パンで色んなことをやりたいから続けるんだけどね。

設備投資もかかるし、その割にパン一個の単価って低いから、やっぱり大変なんです。

好きじゃないとできないけど、好きだけじゃ続けられない。本当にそう思う。

–そんな大変なパン屋さんを、なんでまたこの新山という山の中に作ったの???

自分が生まれ育った場所だから。

ていうか、ここ以外に考えられなかったかな。

確かに市街地に出して、人の往来が沢山あるところでやればお客さんはもっと来るかもしれないけど、やっぱり自分の生まれた場所にお店を構えたいっていう気持ちは強かったです。

パンを売りたいっていう気持ちよりも、新山で店を出したいっていう気持ちの方が強かったかもしれないね。

あ、でも、新山に店を出してわかったことがあるんだけど、確かに人の往来は街のパン屋さんとかに比べたら少ないのかもしれないけど、客単価は上げられること。

–なるほどね、みんな大量に買って行ってくれるんだね。動線とかってやっぱ街の方が引きやすいけど、わざわざここまでくれば必然的に大量に買い物をしてくれるよね。

そうだね。

何より、パンを好きな人ってわざわざ調べて遠くから来てくれたりするから、そういう意味ではあんまり関係ないのかもしれない。車に乗れない子供やおじいちゃんおばあちゃんは来られないのが残念だけど、、、。

–確かに僕もパン好きだから遠くのパン屋さんとかネットで調べて行くもん(笑) じゃあ、地元愛のすごいまりちゃんは、やっぱり地域活性とかは興味あるのかな???

うん、あるね。

それだけを念頭にやってるわけじゃないんだけど、やっぱ私がパン屋さんを始めた事で新山地区に人がたくさん来てくれたり認知されたりするのは嬉しいし、逆に変なことやってられないなって、良いプレッシャーも感じられてる気がするよ。

お客さんに「初めて来たけど新山っていいところだね」ってちょくちょく言われると本当に嬉しいです。

–そうなんだね。ここら辺、本当に自然豊かでいいところだよね。まりちゃんみたいな若者がいてくれるの、周りの人達は嬉しいんじゃないかな。

そうだといいけどね(笑)

 

 

私生活の事について聞いてみた

–じゃあ、私生活の事について、一問一答的なノリで答えて欲しいと思います。まずは、一日の睡眠時間はどのくらい???

5時間くらいです。ほんとは6時間は欲しいけど、なかなか取れませんね。

–趣味は???

犬(笑)犬と戯れること。メロメロです。

あとは語学学習です。

–好きな食べ物は???

バナナ、コーヒー、チョコです。

–あれ?パンは(笑)???

パンは好きだけど、作るほうが好きなので。

–なるほどね(笑) 座右の銘とかありますか???

やれば分かる!みたいな。

try it, and you will seeだね。

–かっこいいなあ(笑) 座右の銘、英語で言いてえなー僕も(笑)
少ないと思うけど休日は何してるの???

うーん、何もない日ってなかなか無いんだよね、休日でもやっぱレシピ考えちゃったりするんです、良くないなとは思うんだけど、、、。

–今の夢は???

私、外人が好きなので(笑)

もっと外人の方と絡みたいです。

海外と日本を行ったり来たりしていたい(笑)

–もしパン屋さんをやってなかったら、今なにしてたかな???

うーーーーーーーん。

考えられない。

 

今後のことについて聞いてみた

–今後の展望とかある? 例えば、事業の拡大とかを考えたりとかはしてる???

課題としては、今までは創業から自分のパンを確立させる事が重要で、他のことはあんまり考えなかったけど、最近はそれより先の事を考え始めてて。 もっと良いものを作りたいし、職人としてもっと高みにいきたいから、私が研修や勉強でお店を空けたりしても大丈夫なように、ナンバー2を育てたい。ナンバー2を作らないことには、これ以上新しいことは出来ないな、と思ってます。

一人だとやっぱり日々のやるべきことに費やす時間がどうしても多くなって、新しいパンを作りたいんだけどそこまでたどり着けない日々が続いてて。 だから新しい実力者を育てて、お店やパンのことをもっと突き詰めていきたいですね。

–お店の未来を考えたらやっぱりそういうことも考えるよね。飲食とかって特にそうなのかもしれないけど、、、。
じゃあこれホントに最後の質問です。 起業することにあたっての心構えとかって言える???

心構えかぁ。

そんなものないと思う。というか、私はやりながら学ぶことが多かったし、オープンもオープンする一週間前に決めるくらい勢いで決めたんだ。

準備する人ってすごい準備するけど、なんていうか、絶対全部が想像通りになんていかないし、逆に色々大変さを知る前だったから起業できたのかもしれない。多分お店なんて誰でも出来ると思うんだ、やればなんだってできる。でも、やっぱり続けていくことのほうが何倍も難しいから、運営していく中でベストな選択をしてくしかないと思っています。

–そうなんだね。石橋も叩きすぎると割れちゃうし、行動することが何よりも大事なのかもしれないね。

人にもよるとは思うけど、やっぱり私は「やれば分かる」っていう考え方だから。

–最後まで男らしいね(笑) ありがとうございました(笑)

 

ゴリラの編集後記

対談は新山の自然豊かな店外のベンチで行われたのだが、レコーダーを再生しながらこの記事を書いていると、話し声の向こう側で終始鳥の鳴き声や風のそよぐ音が聞こえてきて、新山の環境の良さにつくづく酔いしれながら編集した。

今回初めて彼女の意思を掘り下げてみたのだが、想像していた以上にパン作りにストイックであった。そして、想いを大事にするパン職人なのだなあとつくづく感服した。

好きじゃないとできないけど、好きだけじゃ続けられないのは、パン屋じゃなくても言えることなのかもしれないが、ことパン屋さんは特にそうなのかもしれない。

話にある通り、他者に勧められないようなパン屋を営む中で時間的にも余裕は無いはずなのだが、それでも試行錯誤を繰り返しながら僕たちにいつも美味しいパンを提供し続ける彼女を動かし続けているものは、あくなきパンへの純粋な愛なのかな、とも思う。

パン作りを愛し、地元を愛し、家族を愛する。

そんなパン屋さんを僕たちが愛せない理由があるわけないのだ。

ちなみに筆者はパンキエストの食パンが大好物である。焼きもせず、何もつけないプレーンのままいただくのが常である。食パンで勝負できるパン屋さんて、ありそうでなかなか無いのだ。

想いを受け取るには、余計なものなど必要ないのである。

 

 


パンキエスト(Punkiest) 

〒396-0621 長野県伊那市富県上新山2299

 

TEL 0265-96-0635

 

 

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