THE 対談。【STUDIO SDP】経営、伊藤貴志(長野県長野市)

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何年か前から、長野市に若くて敏腕のミックスエンジニアがいるとの話を方々で聞いていた。

奇しくも、小生が青春時代を音楽とともに過ごした長野市を離れ、実家に帰郷をしてからその話を聞いたので、できれば長野に住んでるときに出会いたかったなぁなんて思いながら音楽活動を続けていたら、思いがけずいつかのライブの際に彼から話しかけられた。

腰の低さと、時折垣間見えるクレバーな雰囲気を携えた好青年。

これが彼とのファーストコンタクトの印象だった。

その後も何度かSNSなどで会話はするものの、なかなか時間を合わせることができずに音楽の話をしっかりとする機会をずっと狙っていたのだが、今回タイミングに恵まれてとうとう彼との対談が決まった。

STUDIO SDP、伊藤貴志さんである。

フリーランスでミックスエンジニアとして活動しつつ、ネットでも現実世界でもその手腕を思う存分振るう彼に、音楽の事を中心に色んな話を聞いてきた。

小生もDTMを嗜む身故、今回は個人的にも胸躍る対談である。

専門用語なども出てきますゆえ、なるべく分かりやすい説明のリンクを貼っておきますのでご参考くだされば、と。

バンドマンからDTMerの皆様まで、音楽で何かを目指す方には是非ともご一読いただきたい。

伊藤さんに聞いてみた

–えー、それではよろしくお願いいたします。
音楽や仕事のこともそうなのですが、個人的にDTMの事なども聞きたいと思ってます。 あんまり構えずゆるーくお答えくださいませ。

伊藤氏::よろしくお願いします。

–まずはエンジニアになった経緯などを教えて欲しいです。

高校生の頃に長野市内でバンドやってたんですけど、バンドやってるうちに機材とかPAとか音響に興味が出てきたんです。裏方に興味が出てきたというか、、、。 で、高校卒業と同時にPAの専門学校に行き、2年間勉強したあと卒業と同時にさいたまの音響関係の職場に就職しました。4年くらい働いたかな?

–今はフリーランスになったわけですが、独立した経緯とかはありまか?

祖父が亡くなったりとか、身辺でも色々あって長野に帰ってくることになったんです。 で、どうしようと思ったけどやっぱり音楽の仕事がしたくて、フリーでやろうと思ったんです。 でももうPAとかにはあんまり興味なくて、レコーディングとか編集作業とかそういうことをメインにしたかったんです。 その職場ではProtoolHDシステムでのレコーディングもしていたので基礎的な録音技術は得る機会がありましたが、マスタリングやノイズ除去など編集技術に関しては学ぶ機会がなかったので独学の部分が大きいですね。

–そうなんですね。 長野に帰ってきてすぐフリーランスでの仕事って成立したんですか?

いえ、2年くらいはバイトしながらって感じでしたね。 前の職場からのパイプで仕事をもらうこととかもあったんですけど、なるべくならそういうのに頼らず自分で活路を見出して行きたくて結構営業とかもしましたね。

–なるほど。 ちなみに今は起業されてどのくらいですか?

今アラサーなので5~6年くらいですかね。

–ちなみに年商とかって聞いてもいいですか?

そのへんはひみつです(笑)

–全然大丈夫です(笑)。 じゃあ、今はもう音楽だけで食えてるってことは間違いないですかね?

そうですね、お陰さまでできてます。

–作業場って自宅ですか? また、事業の内容なんかも教えて欲しいです。

そうですね、基本6畳の自分の部屋です。 12畳位はやっぱり欲しいんですけど。
仕事は9割がミックスマスタリングなどの編集作業と、あとの1割がレコーディング関係ですね。あとはスタジオ関係のケーブル作ったりとかです。

–SNSなんかを拝見していると、結構同人関係でもお仕事されてるようですが、実際お仕事って現実世界とインターネットとどっちの割合が大きいですか??

ほとんどオンラインですね。

–なるほど。 やはりインターネットの普及ってすごいですね。

音楽の事を聞いてみた

(彼のケーブルを試奏させてもらいながらの対談となった。)

–ミックスエンジニアとしての観点から見る、今の日本の音楽や海外の音楽について思うこととかありますか?

そうですねー、やっぱり機材も技術も色んなグレードアップは顕著ですよね。年々洗練されていってるというか。
で、最近特に思うんですけど、日本よりも特に向こうの海外のトップの音楽はロー(低音)の作り込みが深いなと感じます。音の立ち上がりの速さや形をしっかり作っていて、一般的に必要とされていないといわれる30hz以下の部分もちゃんと作りこんでるんですね。 そういうのは日本でやられてる方々は一部のトップアーティストだったりされるので本当になかなか難しい技術であると思いますが、そういったサウンドに感銘を受けながら僕も作るようにしています。

–なるほどー。専門的な話になってきちゃいましたね、僕的にはとても勉強になりますが(笑)
機材や技術の進歩といえば、最近は自動でマスタリングしてくれるサービスや、AIが曲を作ったりミックスしてくれたりっていうプラグインなんかもどんどん普及していますが、編集作業を生業とする方にとって焦りとか畏怖なんかは感じますか?

今の段階では全く感じません。 今の1000倍とかの性能を持ってくれば感じるかもしれませんが、、、。 
AIはまだ人間のように人の好みを完全にはキャプチャできないんですよね。 それってやっぱり今の段階では人間にしか出来ないわけで、曲を作る人が何を望んでどういう仕上げをして欲しいかとかは実際AIに打ち込んだりなんて到底できませんよね。
先のneutron(自動でミックスするプラグインソフト)なんかは本当に素晴らしい技術だとは思うんですけど、細かいところまではやっぱり網羅してくれはしないんです。
プラグインに用意されてるプリセットだけじゃそういうのを全て網羅するなんてことは今は不可能だし、人間にしかできないことってまだまだあるので。

–確かに人によって求める成果が違えば、用意されてるプリセットだけじゃ絶対に表現しきれないですしね。 
そのような技術進化とともに、ここ数年でDTMの人口も爆発的に増えています。 個人でミックスやマスタリングまでしている人も多いですが、プロから見て何か思うことはありますか?

アーティストやクリエイターの活動として考えたらやっぱり自分で出来るのであればは自分でやられた方がいいと思います。 勿論プロとの仕事の差はあるかもしれませんが、アーティストやクリエイターはその音楽の最終的なイメージを一番持っていると思いますし、そこにどうやったら近づけるのかを突き詰めていくも表現者が体現をするという本質からみるとすごく自然な姿だと感じています。 やるだけやってそれ以上は無理ってなった時にはプロを頼ってもらえばいいですし、僕らも頑張ります。あとは、自分では想像できなかったカタチのものとの出会えるのも第三者がミキシングやマスタリングをする醍醐味でもあるので、制作は自分で行いそのあとの作業は信頼できるエンジニアに出すってスタイルも活用してもらえたらうれしいですね。 

–なるほど。 じゃあ、例えば初心者DTMerや、編集作業の事は分かっているけどなかなか納得のいく編集ができずに悩むDTMerが、ミックスやマスタリングをするにあたりコツとかってありますかね?

そうですね、初心者や初級者の方だったらまず良いモニター環境を作ることが大事だと思います。 でも最初は何が良いかの基準が分からないと思うので、聴いてて楽しくなるようなものや見ててテンション上がるものとかを買えばいいと思います。 良い機材ってどうしてもお金がかかっちゃうんですけれど、最近の低価格な製品はどれを選んでも他の物と比べてそこまで大差ないので、一度自分の気に入ったものを買ってみて自分の水準を決めていけばよいと思います。 あ、でもモニターを買う時はなるべくモニターの聴き比べができるようなお店にいって実際聴いて選ぶのがいいと思います。 ビビっと来たもので(笑)

 

技術的なことでは、とりあえずちょっと大きめな音でモニターしてみて「ハイ・ミッド・ローの内どこがうるさいのか見極める」ことですね。 フェーダーでボリュームバランスを調整するときにそれを掴んでおいてイコライザーを使う時にその部分にアプローチしたりできます。 スタンダードな考えですけど、「プラス」じゃなくて「マイナス」でミックスをしていく感覚を忘れないで欲しいですね。

逆に後一歩で悩む中級者以上の人はロー(低音)の出し方を突き詰めれば世界がまた広がると思います。

あと、歌モノとかは割とリズム隊から音を決めていく方が多いと思いますが、まずボーカルから決めていくのをオススメします。

ボーカロイドとかは特にそうだと思うんですけど、一番最後に歌を持ってきちゃうと結局一番大事な歌を他のオケに合わせないといけなくなっちゃう部分も多少出てくる場合もあるので、先にアカペラでも綺麗に聴こえるような歌を作ってからオケ作りに移行したほうがシンプルにいい感じになれると思います。

–目からウロコです、ありがとうございます(笑)
伊藤さんがミックスやマスタリングをする上でのポリシーとかってありますか?

そうですね、、、なるべくそのままの音を出したいってところでしょうか、、、。
僕、音楽って「救い」だと思ってるんです。 なので、できるならあまり不自然な手は加えたくないし、逆に自分がその音楽に携わることで少しでも製作者やリスナーの救いになれたらいいな、なんてことは思ったりしてます。 
なので、依頼があるとほんと四六時中その音のことを考えてますね。 車とかには絶対その時に手をつけてる作品を焼いたCDが乗ってます。

–流石というか、音に対して本当に純粋なんですね、すごい。

日常について聞いてみた

–じゃあ次は普段の生活の事について聞いていきます。
一問一答的にパンパンいきます。
 
一日の睡眠時間は?

6~8時間ですね。

–趣味は?

温泉です。

–好きな食べ物は?

ドライカレー。あとウイスキーです。

–尊敬する人は?

アンディ・マッキー(Andy McKee)です。本当に好き。

–座右の銘は?

あったけど忘れました(笑)

–休日の過ごし方は?

アニメ観ます。パソコンは開かないようにする。

–今の夢は?

人の音楽の役に立ちたいです。

彼の心の師であるAndy McKeeは、実は小生も敬愛したりしている。動画はこちら。

最後に聞いてみた

–フリーランスでのミックスエンジニアという仕事は他者に勧められますか?

うーん、まあ好きでやりたいならやればいいと思います。 ただ、楽な仕事は他にもありますよ!とは言っておきます。

–(笑) では、実際にエンジニアを目指している人に言うこととかはありますか

一流のプレイヤーの演奏を一流の環境で聴く事。 色んな音楽を聴くのは当然なんですけど、やっぱり一流のものを実際体感することはとても学びが大きいと思います。

–じゃあこれが最後の質問です。
DTMerなど、曲を作る人達に言いたいことがあれば最後にお伺いします。

そうですね、好きな感じで音楽をしてもらえればいいとおもうんですが、ミックス作業をする中でアレンジでやっておいたほうがいい事を探すことでしょうか。 アレンジで生まれたアンサンブルの呼吸のずれみたいなものをミックスで調整してアンサンブル全体の呼吸を合わせて行くのですが、もともとアレンジの段階で呼吸があっていればミックスで特別なことは必要ないので、ミックスで不自然な部分や思い通りに行かないときは、立ち戻って、自分がどういう曲にしたいかとか、素材の音色選びの一つ一つだとか、レコーディングするなら一番その楽器っぽさが出る音で録れてるかとか、アレンジメントの変更で解決するとか、ミックスでの解決とは違う形を求めて細かいところから一つずつ自分が感じることを明確にしていけばきっと素晴らしい楽曲に繋がっていくし、何よりも楽しいです。 自然に楽しむことが一番でそれが全てだと思います。

ゴリラの編集後記

(長野市で小生が好きなラーメン屋さん(本編とは全く関係ありません))

小生の予想通り、音楽に対するあくなき情熱と、それをいつも理論的に解釈するような理性的でクレバーな一面を兼ね備えた御仁だった。

何よりも強く感じたのは、音楽を「救い」と言い切るその音楽に対するストイックなまでの愛を、他者の作品にどうやって添い遂げさせるかを常に意識している頼もしさだった。

突き詰めている音楽観とは対照的に、人それぞれの個性やスタイルを否定することもなく、ただひたすらに自分の音楽に対する情念を燃やし続けているような、どこまでも純粋な有識者である。

最初は「そんなに話せることないですよ」なんて笑っていたが、いざ対談を始めると楽しそうで嬉しそうなテンポで止めどない勢いで音楽の話をしてくれた。

その熱意を僕は全て受け止められたのかは定かではないが、少なくとも彼が理想とするエンジニアとしての気質は十二分に理解できた。

実は小生のDTM環境周辺や機材周辺のケーブルの事を、ちょっと前から彼に相談している。

オーダーメイドともなれば勿論安い買い物でもないし、躊躇しないわけではない。

ただ、彼の提示してくる音とその貪欲なまでの音に対する追求心は、信頼という大きな資産を生み出して余りある。

つくづく頷けた。

信頼とは、夢見る少年のように純粋な探究心と、他者を慮(おもんぱか)る気配り、そしてなによりもストイックなまでに洗練する自分への厳しさの中に宿るのだと。

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