先日twitterでアンケートを取りました。
参加くださった皆様ありがとうございます。
一応想定としたら44.1kHz、16bitの制作環境下で通常のCD制作を行う場合です。
mp3やディザリングなどの処理も考えないでということでした。
今回は、その辺のところ実際みんなどうしてるのよー??
的な話です。
まずはじめに
DTMやマスタリングの初心者の皆様もいるかと思いますので最初に補足させていただきます。
この0.0dBとか、それよりも低い音量で書き出すことが前提となっているわけですが、それには理由があります。
TDをしながらモニターで聴いているサウンドは全く問題ないのに、バウンスしてみたら(書き出したら)音が歪んでしまった。
配信用にMP3に変換したら歪んでしまったという経験は誰しもあるはずです。
プラグインのブランドによっては、シーリングレベルを0dBに設定してバウンスしても歪まない機種、歪んでしまう機種があります。
コップに水を一杯まで入れると表面張力分の盛り上がった部分があふれてしまう状況に例えられます
ISP/トゥルーピークが問題になるのは、リサンプリングをした時に出来る新たな「サンプル」が0dBFSを超えてしまうときなのです。(超えることが出来ないからオーバーシュートする)
この状態をInter Samle Overshootと表現したりします。
その結果がハードクリップを起こしてしまうようなデータになってしまうのですね。
https://soundevotee.net/blog/2018/03/09/learn_about_isp_and_think_about_ceiling/
デジタルオーディオの世界では、ヘッドルームは言うならば『安全地帯』、または『音楽機器でクリッピングせずに記録可能な最大限の信号の大きさ』と『実際に録音する音のピーク(一過性のピーク)』との間のスペースを意味します。
ピークヘッドルームは、最大のピークレベル(思考過渡状態)と0dBFSの間のdB(デシベル)単位の空きスペースとも言えます。
https://blog.landr.com/ja/7-tricks-to-create-headroom-and-how-it-will-save-your-mixes-ja/
僕は適切な説明が出来るほど理解してないので、分かりやすそうなサイトを紹介しておきます、、、。
そういうことなんです、つまり、0.0dBギッチギチだと環境や要素次第で音が割れちゃったりする可能性があるんですよ(説明下手ですみません、、、)。
きっかけ
先日書いた記事で紹介したA.O.M.のInvisible Limiterをその後導入してウハウハしてたんだけど、OUTPUTのゲインを小数点第二位まで刻めたんです。
で、例えばマスターのバスにリミッターを挿して実際小数点第二位とかまで使ってる人ってどれくらいいるのかな?と思ったのがひとつ。
と、僕の仲の良いエンジニアは最終的なマスターフェーダーで-0.1dBで書き出しているそうで、他にも知り合いも割と-0.1dBで書き出してる人、結構いるんです。
勿論0.0dBでやってる人もいるし、世間的には-0.3dB~-0.5dBが好ましいという意見もあったりで、結局みんなどうしてるのだろう?と疑問に思ったのが一つ。
まあ、CD制作のみで考るのと、他エンコードや変換処理を考えてのマスタリングするのだと色々他にも考えることがあるとは思うんだけど、今回はプロに頼めないとか自分でマスタリングまで完結しているDTMerの皆さんにとって少しでも有益な考察になればいいな、と考えております。
ちなみに筆者はアーティスト活動だとCD制作用と配信用、その他web媒体のストリーミング関係いつも分けてマスタリングしておりまして、大体-0.1dB~-0.5dBで書き出しております。
またBGMや効果音等はサンプルによって都度違うんですけど、大体-0.1dB位がデフォルトです。
Twitterで皆さんに聞いてみた結果
twitterでの反応も様々でした。
-0.2で設定して実際空くのは-0.1でゲス
— すいっち☪️ (@switchBeater) March 13, 2018
-0.5かなぁ https://t.co/SpU8FLbGlv
— saw@mosaw_creation (@saw_hiroyuki) March 13, 2018
単位間違ってる気がするけど、投票結果が若干謎な結果に……w https://t.co/mgtMvsVy05
— 前田ユウキ (@YUKI_MED_) March 13, 2018
多分一般的に推奨されているCellingは-0.3 〜 -0.5くらいじゃないですかね?
— 前田ユウキ (@YUKI_MED_) March 13, 2018
-0.1なんだけど間違えて違うとこに投票してしまった。 https://t.co/9eaGobzC3i
— 雨音(๑òᆺó๑) (@amane5269) March 13, 2018
確かに用途によるのかも。限定的な場面が多いので-0.3まで余裕取ってます。 https://t.co/3BnCnJwHfF
— 藤原孝衍 (@tkyk_fujiwara) March 14, 2018
https://twitter.com/needdecentsound/status/973518379557400577
SOUNDEVOTEEさまはご自身のブログでも非常にタメになる考察をされていらっしゃいます。
是非ご一読ください。
結構みなさんバラバラなんですね、、、
実際にプロのCD音源リファレンスしてみた
知人のエンジニア曰く「プロでも普通に-0.1dBでやってる人も2~3割くらいいるよ」とのことで、個人的にパッと思いついた音源をDAWに入れてリファレンスしてみました。
- 「真・幻想曲」天平&真央樹
- 「BLUE BLOOD」X
- 「がんばれ兄ちゃん」ハンバートハンバート
- 「Life goes on」DRAGON ASH
- 「レクイエム」天平
- 「レーザービーム」Perfume
- 「Your Hands Grasping Even Yourself」NoisyCell
-
「Noctambulist」Matryoshka
- 「We Don’t Need To Talk Anymore」w-inds.
- 「星間飛行」ランカ・リー=中島愛
- 「Hoppípolla」Sigur Rós
で、この中で-0.1dBだったのは、「Life goes on」「We Don’t Need To Talk Anymore」の二曲でした。二割ですね。
他に気が付いたことといえば、最近の曲はやっぱりRMS値が高くて音圧がある。特にPerfumeはずっと0.0dBにべったりと張り付いています。
逆にXのBLUE BLOODなんかは基本的な音圧は低いけどアタックの強くなるピークで0.0dBが出てるイメージです。
天平さんのピアノソロは、音圧が大切なのではなく、ピアノの響きだったりサスティンを大事にしてるかのごとく全体のボリュームも小さめですね。
で、実際は何がいいの??
ということで、実際は何が正しいのか?というところですが、まず今回の定義で言うと追記した
一応想定としたら44.1kHz、16bitの制作環境下で通常のCD制作を行う場合です。 mp3やディザリングなどの処理も考えない
だけを取ってみたら、0.0dBでも問題ないと思います(あくまで個人的な見解なので間違ってたらごめん、、、)。
ただ、昨今のリスニングユーザー視点から考えるとCDやWAVで音楽を聴いている人のほうが少なそう、、、
ということは、mp3やその他形式にエンコードして聴いてる人も多いとなると、やはり書き出しの際のシーリングレベルも考慮して作品にしておくのがベターでしょう。
特にこれからの時代、もっとCD媒体よりもダウンロードやストリーミングで音楽を聴くユーザーは増えてくると思いますし、ラウドネスノーマライゼーションなどを準拠するプラットフォームやメディアも増えてきました。
最近だと「超ローファイなサウンドがかっこいい!」とか、「アナログな質感がやっぱ好き」とか、一時の音圧論争も小康状態になりつつあり、曲持つダイナミクスや抑揚を楽しむ人も増えている気がします。
個人的には、曲やジャンルで適正な音圧やdBがあるとは思うので、これが正解!ってのは言えないんだけど、ユーザー目線で考えた場合にはやはりある程度のヘッドルームの確保は必要かと思います。
例えば実際、-0.1dBと0.0dBの違いって僕には聴き分けられないし、リスクマネジメントとしてのマスタリングも考えていきたいところ。
その辺は個人でも色々経験してみないと分からないだろうから、試せる人は色々と試してみるのがいいかもですね。
ちなみに、、、
先日行ったアンケートがきっかけで辿り着いた素晴らしい記事。
低ビットレートの変換では+1dB以上の変動はザラ。
ISP/トゥルーピークの復習をして、Ceiling設定について考える https://t.co/8Py1R3OxZA @@needdecentsoundさんから— 影山健二@ハイブリッド父ちゃん (@heartleafkk) March 21, 2018
既出のSOUNDEVOTEE様の提言よりこの良記事を読ませていただきました。
僕自身いままで-0.1dBがデフォルトだったので、提唱されている-1.0dBでのceiling設定は正直霹靂でした、、、。
というわけで実際に自分の曲で-0.1dBのものと-1.0dBのものを書き出してみました。
【-0.1dBのもの】
【-1.0dBのもの】
0.9dBの差があると流石にボリューム差を感じますね。
ただ、小さくて気になるということは無いと思います。RMS値にもよると思うけど。
オーディオサンプルと同部分の波形です。
上が-0.1dB、下が-1.0dB。
まとめ
あくまで個人的見解ですが、さっきも言いましたけどとりあえず現時点では、やはりある程度のヘッドルームの確保は必要かと思います。
とはいえ適材適所だと思うので、一概には言い切れないですが。
その辺のことも踏まえて、今後も色々と検証していきたいと思っています。
僕もざっくりとしか認識してこなかったので、プロのエンジニアや周りの意見なども収集しながらまた色々と発信出来ればいいです(´・ω・`)
間違ってたり議論して欲しいことなどあればお気軽にご意見くださいませ。
それでは。