今年の初めからブログ活動を本格始動させたばかりの僕の目に、彼のブログが飛び込んできた。
その時の彼の記事はこちら
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ミュージシャンやバンドマンなら知っておくべきウェブサービス47選
センセーションだった。
ブログを書くバンドマンは沢山いたが、彼のようにブロガーを前面に出して活動しているバンドマンは知り得なかったからだ。
すごい人がいるもんだなあ、と感心しつつ、ただ黙々と自分の活動に精を出していた日々を送っていたのだが、幸いにも僕の活動が彼の目に止まったらしく、インターネットを通じて彼と繋がったのは今年の6月くらいだったと思う。
そのこと自体もとても嬉しかったのだが、いつからかバンドとブログを新しい見地から発信している彼と直接話がしたいと思いつつ、タイミングを見計らってこの「対談」コーナーに登場してもらおうと考えていた。
とはいえ遠方なので、現代人らしくskypeで対談をお願いしようかな、なんて思っていた矢先、彼が長野県は下諏訪街にあるマスヤゲストハウスに宿泊するという情報をキャッチ。まさに晴天の霹靂である。
このチャンスを逃すはずもなく、事の真相を探るため、影山特派員は雨の下諏訪へと飛んだ。
星川さんに聞いてみた
ちなみに、対談はいつも前もって聞くことを決めて臨んでいるのだが、今回は初対面ということもあり、話すことを殆ど決めずに対談してみた。
(マスヤゲストハウスは了承済)
影山–はじめまして、よろしくお願いします。
星川:::よろしくお願いいたします。
–今って、どういう生活をしてるんですか??ブログだけで生活してますか???
ブログの収益と、バイトで生計を立ててますね。バイトはスーパーで一日4時間位、週に4日位のペースです。でもやっぱ、ブログで収益が出てくるごとにバイトするモチベーションが上がらなくなって来ちゃってます(笑)
–(笑)ですよね。どんどんフリーランスに近づいてるんですね。
僕、割と朝方の人間で、集中力のある午前中をバイトに捧げてしまってるので余計に勿体無いなって感じてきてます。なので寝るのも結構早いですね。
–そうなんですね。 そういうスタイルで実際のところ年収で言ったらどれくらいなんでしょうか???
今の水準で行くと、ブログとバイトの収益で大体ひと月に20万円前後なので、年収にしたら150~200万円くらいだと思います。
–なるほど。 東京にお住まいと存じてますが、その年収でも生活は出来てるんでしょうか???
東京の狛江っていう割と田舎に住んでるので、今住んでるアパートも家賃も1Kで34000円とかなんで全然住めますね。 バイトも自転車圏内だし、何より時間を作りたいというか、暇な時間を作れるように意識して生活しています。
–東京でもそんなに安いところあるんですね。
そんな感じの暮らしをしている星川さん、これからの展望とかってどんなふうに考えてますか???これ、ずっと僕が聞きたかったことなので、こんな最初に聞いちゃってすみません(笑)
(笑)うーん。
プライベートも仕事も無くなってきてるんですけど、でも敢えてプライベートっていう枠組みの中で考えると、やはり「安定した暮らし」っていうものの中で生活はしたいと思ってますね。 なので、今年に入ってから関東近郊を中心に、東京に週一とかで出てこられる距離の田舎を探しに放浪したりしています。
–じゃあ、ゆくゆくはそういう場所に定住して活動していきたいということですか???
そうですね。
創作に打ち込める場所や音を気にせず出せる環境とかも考えると、都会っていうわけにはいかなくなってくるので。 例えばそういう場所で安い土地を借りて、メンバーで0からスタジオを建てたりっていうのも思い描いたりしてますね。
–そうなんですね。
「安定」っていう言葉が出ましたが、星川さん的に安定ってどういうことなんでしょうか???
経済って、お金だけじゃなくて、色んな経済が存在してると捉えてて。
貨幣経済もあれば、贈与経済みたいな物々交換のような経済もある。そういう経済にもコミットしていきたいっていう想いはあるんです。
例えば年収が1000万円あろうが2000万円あろうが、お金だけが下地になっている生活っていうのは安定とは言えないと思うし、コミュニティや人的な繋がりと一緒にお金も下地になって、その上に生活が成り立ってるほうが「安定」なんだと思っています。
そういう思いから、今の自分に足りないローカルなものを目指して動いています。
–金銭だけが安寧ってわけでもないと僕もとても思います。そうなっちゃうのもすごく悲しいというか、幸せとかってやっぱり物理的なものだけでもないと思うし。
これからの日本て、もっとコミュニティが分断されていってしまう気がしていて。 趣味や思考やそれこそ家族とかを形成することさえも困難になっていってしまう恐れもある気がする。
その反動で今シェアハウスやゲストハウスなんかが注目されているんだと思います。
昨日話した宿泊者の中に生まれが横浜の方がいて、一人旅をしてる時にやっぱり人ととのつながりを持ちたいからゲストハウスに泊まるようになったって言っていました。
やっぱり人間は人間なんで、環境はどうであれそういうコミュニティは無くしちゃいけないのかなって思います。
ブログやインターネットについて聞いてみた
–最近の記事にインターネットから距離を置いてるということを記事にしたりしていらっしゃいますが、その真意とかってなんでしょうか???
そうですね。
ネットとの距離感ていうのは最近すごく考えています。
以前スタジオラグの中尾さんとお話させてもらった時【月間350万PVブログの編集長に聞いた「メディアはPVが全てじゃない」理由が意外だった】に、「バンドマン向けのブログでガンガンPVを上げていってるんだけど、それはバンドマンのスマホ依存に拍車をかけてるんじゃないか、それって本末転倒だよな」っていうことを仰ってて、ホントにそれはそうだな、と。
ネットってどこからでも人間に侵食してきちゃうんで、そこら辺は意識して遠ざけたりしていますね。
あとは今年に入ってから、バンドマンや音楽をディスったりするようなブログなんかをポチポチと見かけるようになってきて、所謂炎上を芸にしたようなメディアが割と増えてきてる気がしてるんです。
そういうのがちょっと自分の中で気になってきちゃったんで、少し距離を考える理由になってますね。
ラベリングして捏造して叩くっていうのが、ネットのPV集めの常套手段になっちゃてるとか、ホントに淋しいことだなと思います。
–なるほど。確かにそういう風潮はあると思います。僕もそういうメディアはあんまり見たくないです。
ブログでも「ブログ書けばいいよ!」的なことは言ってるんですけど、なんというか、そういう事じゃないんですよね。
イケダハヤトさんのブログとかも有名ですが、ああいうポジショントークって結構極端な立ち位置でやるんですけど、ああいうものが燃えてるようではまだ時代は遅れてるのかなって感じます。
彼みたいな場所にとらわれずにグローバルな経済にコミットしながら自由に生きていく人って割と増えていて、でもそれが炎上ビジネスとして成り立っちゃてるのはまだ世の中が追いついてない感じがありますよね。
–なるほど。確かにそうですね。
ちなみに、ブログを書くのに使っている機材やデバイスってなんでしょうか???
中古で18000円で買ったパソコン(win10)で、回線は格安SIMのユーモバイルかカフェのwi-fiです。
–固定費って全然かかってないんですね。夢がありますね(笑)
ブログ活動をしている中での得るものや気付きってたくさんあると思うんですけど、掻い摘んでいうとどんなところでしょうか???
やっぱり出会いがあります。
それってブログを始めてなかったらあり得なかったことだし、単にお金だけが対価じゃないとは思っています。
で、たまに意識高い系なんて言われることもあるんですけど、意識高い人やモチベーションが高い人と繋がって話していたほうが純粋に楽しいですし、自然とそういう人たちと繋がっていくんですよね。
あとはもともとバンドの武器の一つとして始めたこともあるので、バンドの宣伝にはすごく有益なことを実感しています。
–実際どんな方と出会ったんでしょうか???
えーと、スタジオラグの中尾さん(@kin_kinya )、
同郷のタクスズキさん(@TwinTKchan)、
松下健一さん(@Crimson_Boots )、
ハヤシユウさん(@884yuu )、
田沢直人さん(@tazawa_naoto )、
GANOさん(@Past_Orange )、
音色ポストの近藤さん(@neiropost )
とかですかね。
こおろぎさん(@Kohrogi34 )はすごく人見知りらしいので、結構レアキャラなのでまだなんですよ(笑)
でもこのまま頑張っていれば、いつかは自然に会えるのかなって感じなんですよね(笑)
–そうなんですね(笑)。 今回のこの対談も、いろんなタイミングがうまく重なって自然に繋がったし、きっとそういうのあるんでしょうね、、、。
ちょっと前まで、1日1記事投稿を続けていらっしゃいましたが、どの位続けたんでしょうか???
1年6ヶ月位です。
時には1日3記事書いていた月もありましたね。その結果、現在は20万PVほどですね。
–素晴らしいですね、やっぱ続ける事が大事なんですよね。
バンドのことについて聞いてみた
–ヘイシーズは今後どういう活動を見据えていますか???
僕的にはバンド活動をスモールビジネスとして一つの形を作りたいと思っていますね。
メンバーもいるわけで、利益云々もそれなりに意識はするんですけど、なによりバンドっていうメソッドがもっと商売として見られてもいいんじゃないかな?っていうのを実践していきたいですね。
一昔前はメジャーを離れてインディペンデントでやっていくのもひとつの夢として囁かれていたけど、実際それでやってる人もなかなかいないわけですが、今の音楽業界でどうやって泳いで結果を出していくのか、そこらへんを突き詰めたいです。
今までの流通だけだと正直厳しいと思うんです。だから売り方や宣伝方法をもっとスキームして付加価値を付けていきたいですね。 ブログもその一つの武器として始めたので。
–ちゃんとブロガーをやってるバンドマンて知らなかったんで、センセーションでしたもん僕は(笑)
プロモーションてやっぱ大きいメソッドですよね。ヘイシーズはメンバーの中にエンジニアもいたりするんで、色々自己完結できたりもするんですけど、それを発信して宣伝することがなかなか難しいので、間口を拡げる意味も込めてブログはいい結果をもたらしていると思います。
–実際、既存のやり方だけだと勝負できなくなってるのかもしれないし、バンドマンも時代を嘆いているばかりでなく、もっと色々と考えていく必要はありますよね。
Spotifyとかも今話題になってますが、やっぱネットを介してるだけでもダメで、どうしてもマスが勝っちゃう時代なので、インターネットだけでもダメですしね。
リアルでももっと価値のあるアナログ的なアプローチを常に意識していかないとやっていけないかなって思っていますね。そういう総合力みたいなものは必須になってくると思います。
なので独自性のあるプラットフォームをなるべくスキームしています。
私生活について聞いてみた
–一日の睡眠時間はどのくらいですか???
7時間くらいですかね。
–趣味は???
サッカー観戦です。あとは料理とコーヒーです。
–好きな食べ物は???
甘平です。(柑橘系のものらしい)
–尊敬する人はいますか???
中田英寿かなあ。
–座右の銘とかありますか???
うーん、なんだろう(笑)
「女は泣かすな、泣かされろ」でしょうか?(笑)
–ロックですね(笑)休日の過ごし方は???
もうほぼ仕事とプライベートの境が分からないので何が休日ってことがないんですが、やっぱり家族に会ったりりするときは休日を実感したりしてます。
–なるほど。
じゃあ、今の夢って一言で言うとなんでしょうか???
うーん、やっぱりバンド活動のスモールビジネス化ですかね。
最後に聞いてみた
–ブロガーとして、これからブログを始めたい人に対して伝えたいことってありますか???
総括して言うと「なるべく引きこもらない事」ですかね。
やっぱり行動してその結果をブログに書いたりする方がブログとしても価値も絶対高くなるし、こうやって現実世界で会ったりだとかコラボレーションをすればいろんな意味で活動範囲が広がります。
僕もいろんな人とお会いして話をしたりする中で、もちろん学ぶことも沢山あるし、出会った方が僕のブログを拡散してくれた結果、ブログへのアクセスも上がる結果になったりもする。ブログって確かにインターネット回線さえあれば家の中で完結できちゃうものなんですが、そう言った意味でもなるべく引きこもらずに行動し続けることが大事だと思います。
ブロガーの界隈の中でも繋がりってすごく大事で、例えば日常の不満とかをネットに逃げ込んでブログにして書くっていうのも一つのやり方としてはあると思うけど、でもブログに引きこもるんじゃなくて、ブログを書いていれば絶対に気の合う人が見つかるから、外に向けての意識があったほうが人生に対して有意義なものになっていくと思います。
–そうですね。そうなってくるとブログの対価ってやっぱり直接的な稼ぎとかだけでもなくて、一種のコミュニティ形成のツールになったり、自分の人生のブラッシュアップにもとても有益なタスクなのかもしれませんね。
じゃあ今度は、バンドの活動をもっと踏み込んで考えてる人や、なかなか結果を出せずにもがいているようなバンドマンに対して、今の見地から伝えることとかってありますか???
うーん。難しいですね。
でも、僕の今の立場から言えるとしたら、根本的な「幸せってなんなのか?」っていうことを考えてみてはどうかな?と思います。少なくとも僕はそうしてるんですけど、自分の幸せもそうだけど、やっぱりバンドって組織だから、メンバーにもメンバーの幸せってあると思うんですよね。そういうのをはっきりさせれば、バンドごとに違った活動のデザインて出来ると思うんですよ。
一人はメジャーで売れたいけど、一人はそうでもなくて独立思考だったり、かと思えば売れなくてもいいけどずっとそのバンドを続けることが幸せのバンドマンだっているかもしれない。そういうのをメンバーで理解しているのかいないのかでも全然違うと思うし、何よりも向かっていく姿勢とも絶対に変わって来るとは思う。
「これが正解だよ」とか「これが幸せだよ」とか、大人が目の前に広げちゃうと、そういう視点て眩むんですよね。 でも、そういうところじゃなくて、もっと自分や自分のバンドの幸せにこだわって欲しいなって思います。
–星川さんは愛の人ですね(笑) バンドに対してもそういう想いを持ってるバンドマンて少ないような気もするし、そういうのが分かってるバンドって、売れる売れない別として強い気がします。
ゴリラの編集後記
初見でかなりズケズケと質問を投げかけてしまったが、嫌な顔せず真剣に会話のキャッチボールをしてくれた星川さんには本当に感服した。
前情報から察するに、優しい人なんだろうと予見はしていたが、クレバーで理性的、理論もしっかりした愛のバンドマンというのが話してみて分かった。
バンドとブロガーの両立を体現し、発信するという現代らしい彼の取り組みだが、リアルな世界ではアナログでローカルなものを模索しているという探究心の塊のような人間であった。
僕自身もバンドマンとして、彼のようなバンドに今までにないような付加価値をつけていくことを実践するという取り組み自体、学びしか感じ得ないのだが、彼のように多角的に、そしてバンドの持つポテンシャルをどうやってミニマムな商売に転換していくかなんて考えでバンドのことを考えている音楽人なんてこの世の中にどれくらいいるんだろうか。
それよりなにより、自分のみならずメンバーの幸せまで包括して活動をスキームしようとする彼の考え方は、バンドに対する愛としか言い表すことができない。
バンドに限った話でもないのかもしれないが、彼のような全く新しい形のバンドへの挑戦は、新しいビジネスモデルの潜在力を秘めているといっても過言では無い気がする。
少なくとも僕は、新しいことへの挑戦をやめることなく続けていきたいし、メンバーの幸せを考えられる音楽家でありたいと思う。
星川崇(ホシカワソウ)
バンドマン/ブロガー。
1986世代。
ロックバンド「ヘイシーズ」のドラマー。 「俺、まちがってねぇよな?」は不定期更新。