耳慣れない言葉だとは思いますが、それもそのはず「食道アカラシア」とは食道に起こる珍しい病気で、巷では10万人に1人という稀有な病です。
「食道アカラシアとは」
食道から胃に移行する部分、すなわち食道胃接合部(しょくどういせつごうぶ)の部分が嚥下(えんげ)(飲みくだす)によっても弛緩(しかん)しないため、食道が拡張する病気です。アカラシアはラテン語で、弛緩が欠如したという意味です。
症状の現れ方
嚥下困難感が現れます。固形物より液体がつかえたり、時期により、つかえる場合とつかえない場合があるなど、症状が変動します。食道がんでは、嚥下困難が持続、または増強します。このほか、嚥下時痛、胸痛などがあります。食道内に詰まった食事が、横になった時に逆流し、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を起こすこともあります。
僕が初めて症状を感じだしたのはおそらく23歳位だったと思います。
僕の場合食べ物が喉を通らず吐き出してしまうのと、時折起こる激しい胸の痛みが悩みの種でした。 当初はそんな病気のことは知るはずもなく、様々な町医者や病院で診察を受けましたが、アカラシアを知らないお医者さんも多かったみたいで、アカラシアと診断されるまでに2年ほどかかりました。
25歳頃に腹腔鏡下手術(Heller & Dor手術)という手術を受け、症状は劇的に改善されましたが、痛みだけは残ってしまい(痛みが残る確率は約50%と言われているそうです)、年に数回は動けなくなるくらいの痛みで悩んでいました。
話によると、痛みの強いものは心筋梗塞の痛みに匹敵するのだそうです。
僕が動けなくなるときはそうなのかは分かりませんが、兎に角何も考えられなくなるくらい傷み、強烈な寒さと眠気が襲い、意識が薄くなります。
再発を疑う
そんな感じで10年来の付き合いになったアカラシアですが、昨年の夏過ぎ辺りからかなりの頻度で痛みを感じるようになり、食べ物も昔ほどではないですが通りが悪くなってきました。
アカラシアのことをインターネットで調べると、やはり珍しい病気なので対策がよく分からなかったり、どうしても情報量が乏しいです。
それでも根気よく調べていると、「poem」という手術に行き着きました。
poem(Per-Oral Endoscopic Myotomy, 経口内視鏡的筋層切開術)は、僕のように一度食道箇所に腹腔鏡手術等の外科的な手術を受けたあとでも手術が可能だそうです。
以前は認知度が低く、自費負担の手術だったそうですが、この記事を書いている現在(2016年3月)は厚生省が認可する先進医療として括られています。
要は一部保険適用になるということです。
症例も稀有なら手術自体も実例が少なく、国内ではこのpoem手術を受けられる病院が限られています。
検査へ
というわけで先日、アカラシア専門の治療チームがある「昭和大学江東豊洲病院」にて検査入院を受けてきました。
長野県からは高速バスと地下鉄を乗り継いで片道約5時間位。
昭和大学江東豊洲病院の外観
検査を決心したのは、この頻発する胸痛を何とかしたい一心からでした。
入院初日で1日かけて検査を受けて、翌日にpoem手術のパイオニアでもある井上晴洋先生に診断していただき、「アカラシア再発」という結果でした。
話を聞く限り、術例も1000件弱とまだ少ないけれど(稀有な病のため絶対数が足りないのだそうです)、poemを受けた大半の患者さんが症状の改善を認めているので、受ける価値は充分見込めるとの見解。
もっと早くこの事を知りたかった。
手術は2016年4月4日に決まりました。
(2016年4月8日に変更となりました)
病棟からは東京の街並み。
天気がいいと遠くに富士山が見えます。
最後に
一週間位は入院になるので、手術のこと手術後の経過、体験談なんかをなるべく細かく記事にしたいと思っています。
珍しい病気なので、僕のように悩んでいる人がきっと国内にも沢山いるはずです。
今後この記事が、今もアカラシアで苦しむ誰かの力に少しでもなれたら幸いです。
それでは。