ライブをやってるとしばしば目にする、スマホなんかを使ってライブやコンサート中のアーティストの写真を撮る人達。
そしてそれらをSNSでシェアしてる人達。
ちょっと待って欲しい。
その公演はちゃんと撮影許可されているのか?
アーティスト本人はちゃんと容認しているのか?
モバイルメディアやスマホが普及して、いつでもだれでも簡単に写真や動画が撮れるこのご時世、それに比例してモラルが瓦解している印象を受ける。
許可取ってる??
体感上、ライブ中のアーティストの写真を撮ったり、それをSNSなどに上げる場合、ちゃんとそういう許可を取ってる人はかなり少ない。
でも、冷静になって考えれば、もしかしたらライブ中の写真撮られるのが本当に嫌なアーティストもいるだろうし、ましてやそれを自分の知らないところでSNSなどにアップロードされるのを望んでない人は確実にいる。
勿論、人によっては全てOKな人もいるし、それは実際確認してみないと分からない。
イケてる写真はOKでも、すごい形相で歌う写真はNGかもしれない。
そもそも、小さいイベントとかライブハウスのライブとかって、正直そういう部分がかなり曖昧な線引きになってる事が多い印象。
実際はアーティスト本人というよりも、会場の責任者だったりイベントのオーガナイザーが包括で責任を負うべきところではある。
例えば、規約読んだだけでは分からないような表記をHPに掲載して終わり。とかではなく、当日来場するお客さんなどに対し、
「公演中の撮影は基本的に禁止します。もしくは、最初にアーティストに確認を取ってみて、OKが出たら撮影やSNSアップロードを行うようにしてください。」
というのをだれか見ても認識できるよう、そして把握してもらうようにする、とか。
音楽アーティストはじめ、パフォーマンスでひとを魅了したり客観的に見てもらうための公演者は、当然観てくれる人がいないと成立しないし、応援だってきっとしてほしい。
ただ、
「観られてナンボなら撮らせろ!シェアさせろ!そんなことで文句言うな!」
ってのは横暴だ。
撮影する本人としては想い出として残したい気持ちも非常に分かるが、撮影される側の気持ちを考えれば、何の断りも入れずに撮影したりSNSに上げるのは不愉快だと思う人も少なくないだろう。
正直、法律的に厳しい
冷静に考えて、無許可でライブを撮影したり、動画を撮影してそれらをSNSにアップロードするのは著作権だったり肖像権だったりに抵触する。
なので日本での多くの公演は大体基本的に撮影はNGだそうで。
サマソニだったりフジロックだったり、国内の多くのフェスも規約に撮影NGと書かれている。
下手すると訴えられたりしても何も文句は言えない。
あまり知られていないのかもしれないけど、なにもアーティストにだけ肖像権があるわけでもなくて、実は一般人にも肖像権存在する。
なのでアーティストがOKだったとしても、もし写真に誰かの顔が映っていた場合は肖像権に抵触する恐れがある。
ただ逆に、最近はカメラやSNSの普及で拡散性も高く、もっと自由でいいとする動きも増えてきているよう。
アーティスト本人の意向だったり、活動の追い風になるような色々メリットもあるはずなので、そのへんの規制をゆるくしている動きらしい。
結局は個々のモラルしかない
とどのつまり、ライブやイベントの撮影は個々のモラルで保つしかないように感じる。
その場の雰囲気とかにも関わってくるとは思うけど、アーティストやパフォーマーに声をかけられるようなら直接聞いてみればいい。
それが無理なら会場や関係者の人に聞いてみればいい。
昔好きだったバンドのボーカルが、お客さんに無断で写真を撮られて激怒していたことがある。
「口があるなら聞け!」
と言っていた。
ど正論である。
聞けばOKだったのかもしれないけど、聞かずに撮ったからNGだった可能性もある。
単純に勿体ないと思う。アーティストだってそんなこと言いたくないだろうし。
たまにライブ映像を無断で録画してそれを複製して販売して捕まる人もいる。
そんなもんは論外だけど、個人レベルで楽しみたいとか、全て利己的に使うとかじゃなければとりあえず聞いてみるだけでもいいと思う。
便利な世の中になったし、拡散されるのが当たり前になった時代ではあるけど、一番は撮影される相手の気持ちが一番大事だと思っている。
僕もステージ立つ者の端くれとしては、色々うるさく言ってばの雰囲気を壊したくはないし、撮影OKとはしてるけど、
「撮ってもいいですか?」
と聞かれるだけでも嬉しい。
イベントに出演するときとかも、オーガナイザーから撮影はOKですか?と聞かれると、ちゃんと考えてくれてるんだなー、と安心する。
小さな会場やイベントにとってはすごく微妙な問題だけど、どうか撮影する前に一度立ち止まって考えてほしい。
「自分の常識は、相手の非常識」
かもしれない。
ちょっとした配慮でお客さんと演者がお互い気持ちいい環境を作り上げられるが、きっと理想なのだと思う。
売れてる売れていないは関係ない。
法律的にもそうだけど、そういうの置いておいても全ては相手への「思いやり」ひとつであると思う。